そもそも「免疫力を上げる」とは、どういうことなのでしょうか。私たちの体は免疫によって病原菌やウイルス、汚染物質といった有害なものに対抗しています。
免疫の種類は大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」の2つに分かれます。
○自然免疫
生まれつき体に備わっている仕組みで、体内に異物が入り込んだときに真っ先に動き、異物を攻撃する
○獲得免疫
以前体内に入り込んだ異物と同じものが入り込んだ場合に、過去の記憶をもとに異物と戦う
これらの免疫は、マクロファージやT細胞、B細胞といったさまざまな免疫細胞が、サイトカインと呼ばれるタンパク質を分泌し、情報を伝達し合うことで機能しています。
つまり免疫力を上げるとは、これらの免疫細胞を活発化させてしっかり働くようにするということです。
免疫細胞は加齢やストレス、睡眠不足、偏った食生活などに弱いため、活発化させるにはこれらの原因を取り除き、免疫細胞がよろこぶ行動や食事を取る必要があります。
<免疫力を上げる方法①代謝・体温を上げる>
代謝や体温を上げることは、免疫力を上げることにつながります。
免疫細胞のなかには、異物が入り込んだときに抗体を作るよう指令を出すT細胞と、T細胞の指令を受けて抗体を作り出すB細胞というリンパ球が存在するのですが、リンパ球は体温が上がると増えて活発化する性質があるためです。
<免疫力を上げる方法②質の良い睡眠をとる>
免疫力を上げるには、質の良い睡眠をとることも重要です。
睡眠中は副交感神経が優位になり、心も体も緊張状態から解き放たれてリラックスするため、免疫細胞が非常に活発になります。
質の良い睡眠とは、「途中で目覚めることなく朝まで安眠できる」「目覚めがよく、起きてすぐに動ける」「日中に眠気が出ない」などの条件を満たす睡眠です。
質の良い睡眠をとるには、以下のようなことを心がけましょう。
・毎日同じ時間に目覚め、同じ時間に寝る
・朝日を浴びる
・朝食をしっかり取る
・寝る2~3時間前に入浴を済ませる
・寝る直前に食べない
・寝る前にTVやスマートフォンを見るのをやめる
・睡眠時は室内の温度や湿度を快適に保つ
また、ぐっすりと眠るためには副交感神経が優位になる必要がありますが、ストレスを感じると体を覚醒させる交感神経が優位になってしまうため、ストレスをためないことも大切です。
<免疫力を上げる方法③食事に気を配り腸内環境を整える>
免疫力を上げるには、食事に気を配って腸内環境を整えることも非常に重要です。
腸内には全体の約6~7割の免疫細胞が存在するほか、多数の善玉菌、悪玉菌、日和見菌も存在しています。
善玉菌:ビフィズス菌など、悪玉菌の侵入や増殖を防ぎ、腸の運動を促す菌
悪玉菌:ウェルシュ菌など、腸内で有害物質を作り出し、お腹の調子を悪くする菌
日和見菌:善玉菌と悪玉菌のうち、数が多いほうの味方につく菌
<免疫力を上げる方法④よく笑う>
<免疫力を上げる方法④よく笑う>
免疫力を上げるための1番簡単な方法は、よく笑うことです。
笑うと副交感神経が優位になって体がリラックスしますし、ストレス解消にも役立ちます。
また、IgA抗体という体内に侵入してきた異物にくっついて無力化する免疫物質があるのですが、笑うと体内のIgA濃度が上昇し、免疫を高めるという研究結果もあります。
作り笑いでもIgA濃度が上昇するといわれているので、ストレスがたまっていたり、体調が悪かったりして心から笑えないときは、笑顔だけでも作ってみてくださいね。