食事・睡眠・運動は健康の3大要素です。
その中で睡眠についての研究は比較的新しく、最近になってさまざまな疾患と睡眠障害との関連も明らかになってきました。
<原因と症状>
睡眠障害ってどんなもの?
以前は睡眠障害といえば、不眠症のことでした。
最近では、睡眠に関する研究の進歩とともに、睡眠障害が指す範囲は拡大しています。
米国睡眠障害連合が中心になってまとめた「睡眠障害国際分類」によると、睡眠障害には不眠症のほか、睡眠関連呼吸障害、過眠症、概日リズム睡眠障害、睡眠時随伴症、睡眠関連運動障害などがあります。
不眠症には、寝つきが悪い「入眠障害」、何度も目覚める「中途覚醒」、早く目覚める「早朝覚醒」、日常生活に支障をきたす場合は不眠症と診断されます。
睡眠関連呼吸障害の代表は「睡眠時無呼吸症候群」。
過眠症は昼間に強い眠気があり、一度眠ると目覚めにくい状態を指します。
概日睡眠リズム障害とは、睡眠と覚醒のリズムが乱れ、極端に寝る時間が遅くなったり早くなったりする状態です。
睡眠時随伴症とはいわゆる夢遊病など、睡眠中に起こる異常行動です。
睡眠関連運動障害には「むずむず脚」や寝ている間のけいれん、歯ぎしりなどがあります。
睡眠障害は大人だけでなく、子どもにも起きることがあります。
<リズムの乱れとストレスが原因>
睡眠には「メラトニン」というホルモンが深く関わっています。
朝、目に太陽の光が入ると、脳の松果体という部分からのメラトニンの分泌が低下することで覚醒し、およそ15時間後に再度分泌が高まることで人は自然な眠りに誘われるのです。
不規則な生活や日中に光を浴びない生活を続けていると、メラトニンの分泌がうまくいかず、睡眠障害の原因になります。
メラトニンは脳内のホルモン分泌のコントロール中枢である視床下部に左右するので、睡眠が乱れるとあらゆるホルモンのバランスも乱れてしまいます。
そのため睡眠の乱れは女性の月経不順を引き起こす原因にもなります。
また、人間関係や仕事、パソコンやスマートフォンの使用などによる様々なストレスは、交感神経を刺激して体や脳を興奮させるので、睡眠障害の原因になります。
人には「交感神経優位型」と「副交感神経優位型」があり、同じようにストレスを受けても、交感神経が優位になりやすい人と、そうでない人がいます。
「交感神経優位型」の人は、眠りにつくのが不得意な上に、少しのリズムの乱れやストレスでもすぐに眠れなくなります。
「副交感神経優位型」はそうした影響を受けにくい人ですが、現代的なライフスタイルによってストレスがかかり続けると、交感神経優位型に変わることもあります。