人間はもちろん、地球上のすべての生物が持っている「体内時計」。
この時計によって、昼夜の変化に合わせて体内の環境を変動させる「生体リズム」が生み出されています。
例えば、夜になると体温や血圧、脈拍などが低くなり、朝から昼にかけて高くなるという体の仕組みも生体リズムによるものです。
生体リズムを生み出す体内時計には秒単位のものから年単位のものまでさまざまな種類がありますが、とりわけ生活習慣や健康との関わりが深いのが約24時間周期の「概日リズム(サーカディアンリズム)です。
約24時間周期というのは地球の自転のリズムによるものですが、人間の体内時計の周期はそれよりも1時間ほど長い約25時間であることが分かっています。
この1時間のずれをリセットするために欠かせないのが朝日です。
朝の光に含まれる青色のスペクトル成分に、体内時計の針を進め、24時間周期に合わせることを可能にする働きがあるのです。
しかし現代社会では、本来休息すべき時間帯である夕方から深夜にかけても、スマートフォンやパソコンの液晶画面から発せられるブルーライトなどの強い光を浴びる機会が増えています。
朝日と同じような光を夜にも浴びることで、体内時計は1時間、2時間と後ろにずれていくことになります。
さらに食事をとる時間が日によってまちまちだったり、睡眠不足や運動不足が続いたりすることも生体リズムを乱す大きな要因の一つ。
こうした状態が続くと、健康面にもさまざまな悪影響が及ぶことになります。
<生体リズムの乱れが不調を引き起こす>
生体リズムが乱れると、なぜ体に不調が起こるのでしょうか。
その大きな理由は、体内時計の持つ体への役割にあります。
体内時計には、脳にある「親時計」と全身の隅々の細胞にある「子時計」の2種類があります。
親時計と子時計は自律神経やホルモンを介在して連動し、次のような作用をもたらしていると考えられています。
○自立神経のバランスを調節する
○ホルモンの分泌を調節する
○免疫力を高める
それぞれの体内時計の細胞の中には「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子が複数存在し、互いに作用して正確にリズムを刻んでいます。
ところが不規則な生活が続いたりすると、時計遺伝子に異変が生じ、体内時計を狂わせてしまうことに。
食欲を抑えるホルモンや食欲を促すホルモンの濃度に異常が生じることから、メタボリックシンドロームや糖尿病といった生活習慣病、がん、アルツハイマー型認知症などの病気のリスクが高まっていくことになるのです。
また睡眠の質が良くないと、身体への影響もきたすので、体がだるい、頭痛が凄い、すぐ疲れるなど様々な症状が出てきます。
そこで、生体リズムを整えて身体への負担が軽減できる一日の過ごし方を次の投稿で説明させてもらいます。